地元・下呂市で迎えた飛騨竜王戦三番勝負
昨日、下呂市民会館で開催された第三期飛騨竜王戦三番勝負に出席してきました。前回の「飛騨将棋の日」の大会で優勝したことで、このタイトル戦への挑戦権を得たものです。今回は、現飛騨竜王である佐藤弘道さんのお住まいが下呂市であり、私自身も下呂在住ということもあって、通常なら高山市で行われるところを、便宜を図っていただき下呂市での開催となりました。
開始時間は午前10時。私は10分前に会場へ到着すると、すでに佐藤さんと運営の平野さんが談笑されており、和やかな雰囲気で迎えていただきました。対局場は和室で、畳と座布団、そして低い長机が並ぶ、昔ながらの落ち着いた空間です。外部の雑音もなく、心静かに勝負へ集中できそうな環境でした。



第一局 ― 得意の向かい飛車から優勢に
持ち時間は30分、秒読み60秒。この設定で指すのは、生涯通しても初めての経験かもしれません。どちらかといえば長考派の私にとっては、じっくり考えられるありがたい条件でした。
初戦の先後は決められており、先手が佐藤さん、私は後手番。戦型は向かい飛車からの急戦に進み、得意としている形に自然と誘導できました。角交換後に特殊な筋違い角でも打たれない限り、私はほぼ「向かい飛車・三間飛車・相振り飛車」の三択に落ち着きます。今回も序盤から自分の形に組み上げることができ、佐藤さんに無理気味の攻めを誘い、駒得から優勢を築き上げました。
とはいえ簡単な勝利ではなく、持ち時間をしっかり使い切るほど内容の濃い一局となりました。終局後には感想戦を行い、時計を見るとすでに正午近く。ここでいったん昼食へ向かうことになりました。
昼食 ― 「つりがね園」で将棋談義
平野さんの車に同乗させていただき、会館の近くにある和食処「つりがね園」へ向かいました。初めてのお店でしたが、落ち着いた店構えで、どこか懐かしく温かい雰囲気が漂っていました。
店内でも将棋談義が止まりません。平野さんは高山市の方のため、「下呂にはあまり来ないのでは?」と尋ねたところ、なんと毎週通っているとのことでした。理由を伺うと、下呂では毎週ジュニア向けの将棋教室が今回の会場と同じ下呂市民会館で開かれており、そのお手伝いをされているそうです。現在、下呂教室の生徒は3名。一方で高山市は25名もの大所帯で、小学生から高校生まで幅広い世代が通っているとのことでした。
さらに、待ち時間には流行戦法の話や女流プロの育成制度、右四間飛車の評価、矢倉や横歩取りの現状など、興味深い話題が次々と飛び出し、実に楽しい時間でした。
注文した味噌カツ定食(1,450円)が運ばれてきたときには、そのボリュームと香りに思わず笑みがこぼれました。平野さんから「食事代はお預かりしていますよ」と言われ、ありがたいご厚意に甘えさせていただきました。



第二局 ― 向かい飛車で再び優位に
会館へ戻り、午後の第二局が始まりました。今回は私が先手番。戦型は第一局と同じく向かい飛車へ進行しました。序盤から流れをつかみ、まずまずの形で優位に。大きな波乱もなく、落ち着いて勝ち切ることができました。
これで2連勝し、タイトル奪取が確定しました。しかし、せっかくの三番勝負。気を緩めることなく、第三局へと再び気持ちを引き締めました。

先手の私が▲4六角と打った局面。▲4六角ではなく、▲6三歩(取っても逃げても5五角の痛打)もしくは▲7五歩も思い浮かぶが、何れも△6四角の返し技があり、自信が持てなかった。実戦ではこの▲4六角の後、△5四角▲7五歩△6三角▲6四歩△4五角▲7四歩△6七角成▲同金△7五銀▲7三歩成△8六銀▲8二と△6六歩▲5五角△3三桂▲6六角と進んだ。ポイントととしては、強く飛車の取り合いで攻め合いに行ったことが良かった。それから△6六歩の金取りに対し▲5五角出が次に▲2二飛からの詰めろとなっており、後手は金を取れず、△3三桂と受けざるを得なかった点。味良く角でこの歩を取ることができて、この時点では、陣型と駒の損得の差で既に優勢を自覚。
第三局 ― 三間飛車から石田流へ、理想形で締めくくり
最終局は私が三間飛車から入り、自然に石田流の理想形へ組むことができました。ここまでうまく進められることも珍しいほど、形勢判断も手応えも良好。終盤まで流れを渡さず、そのまま押し切ることができました。
結果は三局全て自分の得意戦法に持ち込み、三連勝でタイトル奪取。これほど気持ちよく戦えた日はそう多くありません。逆に佐藤さんにとっては、慣れない戦型を相手にし続けなければならず、不利だった部分もあったかもしれません。勝因を挙げるとすれば、自分の土俵に引き込めたことに尽きると思います。
終わってみて ― 感謝と新たな決意
対局後は全員で片付けを行い、午後4時前には会館を後にしました。
一日を振り返ると、将棋の内容はもちろん、昼食の時間も含めてとても充実した時間でした。スタッフの平野さん、そして対局者である佐藤弘道さんには、心から感謝申し上げます。
次回の月例会で表彰状をいただけるとのことで、それもまた楽しみの一つです。
そして来年は、タイトルホルダーとして臨む大会が待っています。誇りと責任を胸に、これからも将棋と向き合い続けていきたいと思います。

