将棋の上達法の変遷
昔と今とでは、将棋の学習方法が大きく変わりました。特にネット対局が普及した約30年前を境に、将棋の上達法には劇的な変化が見られます。ここでは、ネット対局以前とネット対局が流行り出した後の上達法の移り変わりについて考えてみます。
ネット対局以前
(1) 将棋道場での対局
昔は、将棋道場が主な対局場所でした。道場では実際に対面して対局を行うことで、集中力や読みの深さを鍛えることができました。また、対局後の感想戦を通じて、お互いの手の内をさらけ出すことで学びを得ることができました。道場の環境には、ネット対局にはない暖かさや触れ合いがありました。また、稀にプロの棋士や師範から直接指導を受けることができる点もメリットでした。
(2) 書籍による学習
書籍は昔から重要な学習ツールでした。戦術書や定跡書を読み、プロの棋譜を研究することで自分の戦術を磨くことができました。例えば、「将棋世界」や「近代将棋」といった専門誌を読み込むことが一般的でした。また、「升田式石田流」や大山康晴九段の「将棋は四間飛車」などの戦法に関する専門書を何度も繰り返し読むことで、特定の戦法に対する理解を深めました。
ネット対局が流行り出した後
(1) ネット対局の魅力と課題
インターネットの普及により、将棋の対局環境は大きく変わりました。ネット対局では、全国の対局者と手軽に対局することが可能になり、様々なレベルのプレイヤーと対戦できる機会が増えました。
ネット対局の利点
- 手軽に対局:自宅にいながら好きな時間に全国の対局者と対戦可能。
- 多様なレベルの対戦:様々なレベルのプレイヤーと対戦できる。
- 実力のバロメーター:対局後に点数が表示され、現時点の段・級と実力値がわかる。
ネット対局の課題
- 弱い相手との対局:自分より弱い相手と当たると上達の機会が減ることがあります。
(2) 将棋ソフトとの対局
将棋ソフトの進化により、人間のレベルを超える強さを持つソフトと対局できるようになりました。これにより、自分の弱点を明確にし、それを克服するための学習が効率的に行えるようになりました。
(3) 将棋ソフトによる検討
将棋ソフトを使った検討は、対局後の振り返りに非常に有効です。自分の指した手や相手の手を客観的に評価できるため、自分の弱点や改善点を明確にすることができます。
将棋ソフトを使うメリット
(1) 強い対戦相手
将棋ソフトは非常に強力であり、プロ棋士に匹敵する、あるいはそれ以上の強さを持つものも多いです。これにより、自分の限界を試せたり、高レベルの練習相手と対戦できたりします。また、駒落ち対局を選ぶことで、自分より少しだけ強い相手と対戦することも可能です。
(2) 即時のフィードバック
将棋ソフトは対局中や対局後に即座に局面の評価を提供し、どの手が良いか悪いかを教えてくれます。これにより、誤った手をすぐに修正し、正しい手順を学ぶことができます。
(3) 多様な戦術の学習
将棋ソフトは様々な戦術や定跡に対応できるため、幅広い知識を吸収できます。定跡の研究や戦術の多様性を持つため、バランスの取れた戦術を身につけることができます。
(4) 対局後の検討
対局後にソフトを使って振り返りを行うことは非常に有効です。客観的な評価や詳細な解析を通じて、次回の対局に活かせる具体的な改善点を見つけることができます。
(5) 時間と場所の自由
将棋ソフトを使った学習は、時間や場所に縛られずに行うことができます。自宅にいながら、好きな時間に将棋の練習が可能です。
(6) コストパフォーマンス
多くのフリーソフトが存在し、無償で利用できるため、コストパフォーマンスが非常に高いです。
結論
昔と今の将棋の上達法にはそれぞれの良さと課題があります。重要なのは、自分に合った方法を見つけ、楽しみながら上達を目指すことです。ネット対局や将棋ソフトを上手く活用し、効果的な学習方法を取り入れていきましょう。