将棋ソフトとの出会いとブログ再開まで
私がブログを始めたのは2019年。当時、将棋ソフトがまさに「宇宙創成期のインフレーション」のような進化を遂げていた時期でした。
当時、(株)サイタで塾講師をしていたこともあり、時代の流れに遅れまいと、将棋AIの知識を一気に学びました。
その頃に書いた記事の多くが将棋ソフトに関するものでした。
ただし、生徒募集や指導対局の記事など、現在は不要になったものは削除。
一方で、愛着もあったためバックアップだけは残しています。
こうしてブログは整理され、今ではより明確なテーマ性を持つ形になりました。
今回はその中核テーマである「将棋ソフトの進化」を改めて振り返ってみたいと思います。
⚙ 初期の将棋ソフト ― 誕生と進化の始まり
● 棋太郎(Kitaro)
1990年代初頭、「棋太郎」が登場しました。
当時のPC性能を限界まで活用し、プログラムの緻密さで強さを追求しました。
まだ人間には及ばないながらも、将棋AIの第一歩を示した存在です。
● 激指(Gekisashi)
2000年代に入ると、「激指」が登場。
高度なアルゴリズムと定跡データを用い、ついに人間の有段者と互角に戦えるレベルへ。
この時期から、将棋ソフトが実用化の域に達し始めました。
BonanzaからGPS将棋へ ― 革新的な技術の登場
● Bonanzaの衝撃
2005年、「Bonanza」が登場。
人間が手作業で作るのが常識だった“評価関数”を、AIが自動で生成するという革新を成し遂げました。
この技術は、後の将棋ソフト開発に大きな影響を与えました。
● GPS将棋の快挙
2010年代には「GPS将棋」が登場し、クラウドの力を借りて進化を加速。
2013年の電王戦ではプロ棋士を破り、将棋AIの時代到来を象徴する一戦となりました。
PonanzaからAlphaZeroへ ― AIの黄金期
● Ponanzaの進化
「Ponanza」は機械学習を導入した将棋ソフトとして、2010年代中頃に台頭。
電王戦で圧倒的な強さを誇り、将棋界にAIブームを巻き起こしました。
● AlphaZeroの衝撃
2017年、Google DeepMindが開発した「AlphaZero」は、AI研究の常識を覆しました。
人間の定跡を使わず、自己対戦だけで学習し、短期間で既存ソフトを凌駕。
まさに「人間を超えた知能」の誕生です。
AlphaZeroは、将棋だけでなく囲碁・チェスにも対応。
その汎用的な学習アルゴリズムは、AI技術の新たな地平を開いたと言えるでしょう。

将棋神(ShogiGod)と次世代AIの台頭
近年では「将棋神(ShogiGod)」など、より人間的な指し手を持つAIが登場。
プロ棋士の研究ツールとしても用いられ、局面解析の精度はさらに向上しました。
ちなみに私自身、初めは「将棋ウォーズの“棋神”」と混同していましたが、実際は別物です。
将棋神は研究用ソフトであり、純粋なAIプログラムとして開発されています。
このように、将棋ソフトは今もなお進化を続けており、研究・教育の現場で欠かせない存在になっています。
世界コンピュータ将棋選手権 ― 技術と知能の競演
● 初期(1990年代)
1990年に第1回大会が開催されました。
当時はハードの性能に限界があり、プログラムの工夫で勝負する時代でした。
● 中期(2000年代)
2000年代には「激指」や「KCC将棋」が登場し、レベルが急上昇。
また、2005年に登場した「Bonanza」は評価関数自動生成という革新で大会を制しました。
● 発展期(2010年代)
2010年代は「GPS将棋」「Ponanza」が主役。
特にPonanzaは連覇を果たし、AI将棋の黄金時代を築きました。
● 近年(2020年代)
2020年代には「将棋神」などの新世代AIが登場。
競技レベルはさらに高まり、今では人間の理解を超える次元に到達しています。

将棋ソフトがもたらした影響と未来展望
世界コンピュータ将棋選手権は、単なるAIの大会にとどまりません。
技術革新の場であり、プロ棋士や研究者にとっても貴重な知的資源です。
- 技術面では:新しいアルゴリズムやクラウド技術の実験場。
- 教育面では:初心者から上級者まで学べる教材として普及。
- 将棋界では:AI研究が新しい定跡や戦法を生み出すきっかけとなりました。
今後もAIと人間が共に成長し、より深い「思考の将棋」が広がっていくでしょう。
そしてその未来の一歩は、すでに始まっています。
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