まずは手術に至るまでの経緯(検査〜治療方針の変更)
前立腺がんの手術を無事に終え、私は9月14日に退院しました。
しかし、いきなり「手術前日(9月4日)」から話が始まるわけではありません。実際には、検査結果に向き合い、治療法を迷い、方向転換もしたうえで、ようやくロボット手術にたどり着きました。そこで最初に、その流れを整理しておきます。
5月28日:生検結果の確認が“分岐点”になった
5月28日、かかりつけの高山赤十字病院 泌尿器科を受診しました。目的は、5月14日に行った前立腺針生検の結果確認です。つまり、がん細胞の有無がはっきりする重要な日でした。
その前段として、4月15日のMRI検査ではPSAが17ng/mL以上と分かりました。一般にPSAの正常値は4.0未満とされるため、医師からは前立腺がんの疑いが高いと説明を受け、精密検査として生検へ進みました。
そして結果として、重度(高リスク)と考えられる前立腺がんが確認されました。
グリーソンスコア「4+4=8」=高リスク
主治医から告げられた数値は「4+4」でした。これはグリーソンスコア(悪性度の指標)を意味します。
2つのパターンを数値化し、合計でリスクを判断します。
- 2〜6:低リスク
- 7:中リスク(3+4は低寄り、4+3は高寄り)
- 8〜10:高リスク
したがって、4+4=8は高リスクに分類されます。言い換えると、進行が比較的速い可能性があり、治療方針はより慎重に決める必要がある、ということでした。、治療方針をより慎重に決定する必要があるということでした。
骨転移の有無で治療の絵が変わる
また、前立腺がんでは骨転移の有無が重要です。仮に骨へ転移している場合は、全身治療と局所治療を組み合わせることが多いと説明を受けました。たとえば、次のような選択肢があります。
- ホルモン療法:男性ホルモンの働きを抑え、増殖を抑制する
- 化学療法:薬剤でがん細胞の成長を抑える
- 放射線療法:転移部位の痛み緩和や進行抑制を狙う
- 骨修飾薬:骨折予防の目的で用いる(例:ビスフォスフォネート、デノスマブ)
- 免疫療法:状況により検討される場合もある
結局のところ、体調や進行度、生活の希望を総合して、主治医と相談して決めることになります。
手術か放射線か:比較しながら揺れた
前立腺がんの主な治療には、手術と放射線治療があります。
- 手術(前立腺全摘):がんを取り切れる可能性がある一方、術後合併症の説明も受ける
- 放射線治療:身体への負担が比較的少なく、通院治療が中心になりやすい
一般論としては、体力や年齢、持病などによって選択が変わります。
そして私自身も、最初は放射線治療の方向で考えました。さらに、陽子線治療も含めて「より良い選択肢があるのでは」と調べました。
それでも手術へ:決め手は「期間」と「納得感」
放射線治療は、長期戦になりやすい面があります。私は治療全体の期間や通院負担も現実として考えました。
そのうえで、短期間で根治を狙える可能性に納得できたことが、最終的に手術へ舵を切った理由でした。
手術決定までの流れ(要点)
- 7月30日:高山赤十字病院で、放射線治療中止と手術希望を伝え、紹介状を依頼
- 8月5日:中部国際医療センターで手術を正式に依頼。既往(胃がん手術など)によるリスク説明も受けたうえで、手術方針が確定
- 8月30日:麻酔科・歯科口腔外科・泌尿器科で術前説明。ロボット支援手術の内容も確認
- そして、9月4日入院、9月5日手術へ
こうして、紆余曲折の末に「ロボット支援手術(ダヴィンチ)」という選択にたどり着きました。では次に、入院から退院までの記録に入ります。
手術前日(9月4日)〜入院手続きと準備〜
9:20 病院に到着し、患者支援センターでパジャマなどの備品を受け取りました。
その後、歯科口腔外科で簡単な検査を受け、8階の個室へ案内されます。
午後からは点滴が始まり、2時間分を3回実施しました。さらに14:20には下剤を2回に分けて服用します。
緊張感はありましたが、少しずつ「明日に集中しよう」という気持ちに切り替わっていきました。そこで、この夜は静かに体を休めました。
手術当日(9月5日)
6:00 起床後、体温と血圧を測定し、アルジネードウォーターを2本飲みました。
7:20 浣腸を行い、血栓予防の靴下を着用。続いて点滴を開始します。
9:00 手術室へ移動。背中から痛み止めを注入(除去予定は9月7日)。
そして9:30 手術開始、13:30に無事終了しました。
手術は成功し、その後は集中治療室(ICU)へ移動。酸素マスクや腹水除去チューブ、2本の点滴、尿道カテーテルなどが装着されました。
全身の倦怠感はありましたが、それでも安堵感のほうが大きかったです。一方で、その夜は体を動かすこともままならず、ただ回復を願いました。

術後経過とリハビリ開始(9月6日〜9月10日)
手術翌日からは、体調を見ながら段階的に回復を進めていきました。
日ごとの変化は小さいものの、確実に前進している感覚がありました。
以下は、術後からリハビリ開始までの経過を日付ごとにまとめた記録です。
9月6日
大部屋へ移動し、背中のチューブを除去しました。
ただし血圧が下がったため、この日のリハビリは延期。ようやく初めての食事をとれましたが、まだ体は重く感じました。
9月7日
点滴が終了し、朝食を再開。午後から歩行リハビリが始まりました。
一歩ごとに体力の衰えを感じつつも、「歩けた」という事実が小さな自信になりました。
9月8日
睡眠不足が続いたものの、散歩リハビリを実施。左腹部に痛みは残りましたが、気分転換になりました。
さらに、病棟の窓から差し込む光を見て、回復の実感が少しずつ増えていきました。
9月9日
痛みは10段階中3程度まで軽減。窓の外の景色を楽しみながら、軽い筋トレも開始しました。
その後の検査でも異常は見られず、快方へ向かっていることを実感します。
9月10日
尿道カテーテルを除去。尿失禁があるため、オムツカバーを使用しました。
とはいえ、体が術後の生活に順応していく感覚もありました。そこで「焦らずに回復を待つこと」が今の自分に必要だと感じました。

退院に向けた最終調整(9月11日〜9月14日)
9月11日
尿失禁治療に関する講義を受け、尿残量の測定結果も良好。抜糸が行われ、退院日が正式に決定しました。
その後、退院後の生活指導もあり、次のステップを意識する時間になりました。
9月12日
尿意の感覚が徐々に戻り、骨盤底筋体操を再開。さらに、看護師による尿漏れケアのサポートも受けました。
こうして、退院の準備が少しずつ整っていきます。
9月13日
尿意が明確になり、尿漏れの量も減少。翌日の退院が確定し、期待と緊張が入り混じった一日でした。
一方で、「本当に自宅で大丈夫だろうか」という不安も少しよぎりました。
9月14日(退院日)
退院時には「運動後の尿漏れに注意」など生活上のアドバイスを受けました。さらに外来通院のスケジュールも確認し、病院を後にします。
こうして、14日間の入院生活に一区切りがつきました。
まとめ 〜入院生活を振り返って〜
手術が無事に終わったことへの感謝が、まず最初に湧き上がります。
胃がんの開腹手術と比べると痛みは軽く、流動食の期間も短かったため、体への負担は少なめでした。
尿漏れは事前に説明を受けていたとはいえ、やはり不快感があります。
しかし、骨盤底筋トレーニングを続ければ改善が期待できると信じています。
また、食事は塩分控えめながら美味しく、病院食の印象が大きく変わりました。
さらに入院中はiPadとイヤホンが欠かせず、テレビは一度もつけませんでした。
そして、8階病棟は前立腺がん専用、上階が胃がん専用と分かれており、セキュリティも万全でした。入室と同時に自動ロックが作動し、患者が自由に出歩けない仕組みには感心します。
この環境からも「大病院の安心感」を実感できました。
退院後の予定 〜将棋大会に向けて〜
退院当日、本来出場予定だった「赤旗将棋名人戦(飛騨地区大会)」は9月22日に延期されていました。
そこで、すぐに電話で参加予約を完了。体調を整えながら、次なる舞台に向けた準備を進めています。こうして大会が、リハビリの目標にもなりました。
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