心臓病と共に生きる私の登山記―乗鞍岳・富士見岳登頂までの道のり

身体障害者記録

はじめに──病を越えて、再び山へ

私は 労作性狭心症 という心臓機能障害を発症し、2022年2月15日および3月9日に 高山赤十字病院、同年3月31日に 富山大学附属病院 にて、PCI(経皮的冠動脈インターベンション) を実施しました。
これは 冠動脈カテーテル治療・経皮的冠動脈ステント留置術 に該当します。

その後、同年6月に 身体障害者3級 の認定を受けました。
以降は無理をせず、毎日の散歩を日課としながら体力維持に努めています。
そして今回は、その延長として トレッキングという新たな運動 を取り入れることにしました。


去年の無念を晴らすために

去年、乗鞍岳登山を計画しながらも、事前の調査不足で計画倒れとなってしまったことがありました。
しかし その悔しさを胸に、「今年こそは」と決意し、ついに再挑戦の日を迎えました。

早朝出発とほおのき平バスターミナル

登山当日、朝6時に自宅を出発。今回は友人と2人での挑戦です。
向かったのは岐阜県側の玄関口である ほおのき平バスターミナル
ここから先はマイカー規制区間のため、
乗鞍スカイライン経由のバスに乗り換えます。

いよいよ、標高の高い世界へと向かいました。

雲上の世界・畳平へ

バスに揺られながら標高を上げ、終点の 畳平(標高2702m) に到着。
空気はひんやりとしていて、夏場でも肌寒さを感じるほどです。
一方で 登山者や観光客で賑わい、周囲を見渡すと、すでに雲より高い位置にいることが実感できます。

剣ヶ峰へ向かうはずが…思わぬルートミス

本来の目的地は、乗鞍岳最高峰の 剣ヶ峰(3026m) でした。
畳平から進むと、道は二股に分かれています。

急勾配の岩場ルートと、比較的平坦な砂利道ルート。
そこで私は、迷わず急勾配の方を選択しました。
その結果 登山初心者にとっては相当きつい登りとなり、息を整えながらゆっくりと進むしかありませんでした。

辿り着いたのは富士見岳山頂

山頂らしき場所に到着したものの、どこか違和感がありました。
すれ違った登山者に確認すると、そこは 富士見岳(2818m) の山頂でした。

つまり、剣ヶ峰とは別の山に登っていたのです。
しかし、その登山者から「ここを下れば剣ヶ峰ルートに合流できますよ」
という心強い助言をいただき、再び希望を持って下山を開始しました。

登山者同士の挨拶がくれた力

登り下りの途中、すれ違う登山者には必ず「こんにちは」と挨拶をしました。
すると、必ず笑顔で返してくれます。
この何気ないやり取りが、疲れた身体と心を不思議と軽くしてくれました。

ステント術後の登山で得た自信

それでも今回の登山で、大きな収穫がありました。
心臓のステント術を受けて以来、激しい運動には不安がありましたが、
マイペースで登れたことは、大きな自信につながりました。

一方で、 登るにつれ苦しい場面もあり、休憩回数が増えました。
そのため、 体力強化の必要性も痛感しました。

剣ヶ峰登頂を断念した理由

富士見岳から下り、剣ヶ峰ルートの合流地点へ。
見上げると、山頂までの道は急勾配で、距離もあります。

友人と相談した結果、

  • すでに富士見岳登頂で体力を消耗していること
  • 無理をすれば心臓に負担をかける恐れがあること

これらを踏まえ、今回は剣ヶ峰登頂を断念 しました。
この判断は後退ではなく、自分の身体と正直に向き合った前向きな決断 でした。

まとめ──来年こそは、剣ヶ峰の頂へ

今回の乗鞍岳登山では、富士見岳の山頂に立つことができました。
一方で、剣ヶ峰登頂は断念するという判断を下しました。

しかし、この決断は後悔ではありません。
心臓ステント術後の身体と向き合い、無理をしない選択ができたことは、
今後の登山や日常生活においても大きな意味を持つ経験でした。

また、標高2700メートルを超える環境でも、自分のペースを守れば歩けるという確かな手応えを得られたことは、何よりの収穫だったと感じています。

そのため、今後は日課としている散歩に加え、坂道や階段など高低差のある運動を取り入れ、体力と心肺機能の維持・向上に努めていくつもりです。

そして、準備が整ったその先に、来年こそは剣ヶ峰の頂に立つ という目標があります。
焦らず、驕らず、自分の身体と対話しながら、次の挑戦へと歩みを進めていきたいと思います。

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